ピンクとグレー感想

こんばんは。マスヒツからチョコレートが流れました(テゴマスのらじおでも流れたな)。もしかしてバレンタイン時期にはいつもこの曲を流しているのかな?季節感のある曲は使いどころが限定されることもありますが、このときはコレ!という強みがあっていいですねえ。

さて、ピングレについて。シゲアキ先生、10万部以上刷ったということで、おめでとうございます!発売時にもう少しTVで宣伝して欲しかったなあ。せっかく今良ビジュなのに。

未読の方には、もしかしたら「NEWSの暴露本…?」などと思われているかもしれないのですが*1、そういったことはありません。とある番組が出てきたり、ピンで歌ってドラマで活躍して…という描写はありますが、それは単に物語上の一場面に過ぎず、メイン2人を特定の誰か(シゲ本人含む)に重ねることなく読めました。
随所に「シゲらしい」文章・アイテムだなあと思える箇所がありました。この「シゲらしい」がどういう意味なのか説明するのが難しいのですが、たぶん、私の中のシゲのイメージに合致した、ということだと思います。
作者がどんな人物か多少は知っているので、他の多くの本を読んだ時よりも、読後に考え込んでしまいました。これをシゲが書いたのか、と。一言でいうと、見直したよ!かな。私には、思っていたよりずっと面白かったです。宣伝で「オレのこと嫌いになるかも」「衝撃的な内容」などと本人が言ってて、そんな大風呂敷を広げて大丈夫かいな…と心配してたのですが(ごめん)、なるほど、シゲが自信を持つのもわかる作品でした。処女作としては十分世間に出して恥ずかしくない出来。思い溢れて言葉が長い部分もありますが、小説家としての個性を感じました。作者自身の23-24歳という若さ、今の仕事である芸能界、慣れ親しんだ土地…などが(予想より)背のびせず等身大に詰め込まれていて好感を持ちました。NEWSやジャニに興味ない方にも、興味深く受け止めてもらえる作品じゃないかなあと思っています。

…ってかなり手放しで褒めているのですが、それはラッキーなことに、この作品の雰囲気が私の好みとカチっと合ったんです。読む前に期待値のハードルを下げてた、そもそも私がファンだから贔屓目、っていうのもありますけども。まずはどんなものかと多く方が本を手にとってもらえたらなーと思います。


以下はネタバレ含む感想です。



・表紙は、金の部分がキラキラして綺麗。デザインが抽象的で意味わからなかったのですが、読むと作品中に出ているアイテム満載だなということに気付きました。表紙を外すと黒で、あーこの作品暗いんだろうなーと予感させました。
・目次を見ると、年齢と飲物名がずらり。年齢がランダム。時系列ではないストーリーがシゲらしいなあと思いました。
・好きな場面は映像が頭に浮かんで、なるほど映像化しやすいかも、と思いました。場面がイメージしやすかったのに比べて、登場人物の顔がイメージしにくいかなあ。そういう意味では公式のイラストはいいアイデアなのかも。
・子ども四人組「スタンド・バイ・ミー」にはころっとだまされました。思いこみってやつですね。あまり謎解きをせず読むタイプなので、素直にだまされたのが気持ちいい。
・私は前半の子ども4人組が出逢い、キャッチボール・花火と親密になる話が好きです。ごっちが石川に思いを伝える場面も好き。前半のこういうノスタルジックできれいな場面の描き方+後半にきちんと「転」があるってのが、私的ピングレのお気に入りなところ。
・4人組の中の1人が影薄いのがちょっと残念。
・高校生時代では、登場人物(作者)と知識を共有していたならもっとニュアンスがわかるんだろうなと思いました。ビートルズ「in my life」の歌詞をそのうち調べてみようっと。
・ちょっとしたきっかけがチャンスを掴む…というエピは、わずかな差が大きな人気の差につながる芸能界の象徴なのかな…と思ったり。
・最後にどっちかが死ぬかと思ってたら途中で一方が死んで、この後は残り1人がメイン?と思ったらうまいこと2人メインの話に繋がっていきました。彼の死は起承転結の「転」の部分で、それまでの展開から一足飛びに緊張感が高まりました。緩急のつけ方いいよいいよ。
・2回目に読むと、意味不明だった3章がこの死の場面だということに気がつきました。
・ですが、基本的には「死」をテーマにした作品はそんなに好みではない。お涙頂戴でこられたらどうしようかと思ったけど、そうじゃなく終わったのは良かったと思います。いわゆる厨二病的な、死にだんだんと惹かれる様が「若いなあ」と思いました。私は親兄弟健在ですが、姉の死が心の奥底にずっとあって後々まで影響するというのはわかる気がします。
・このあたりの「死」に対するキレイな描写は、自分が若かったら受け止め方が全然違っただろうなと思います。
・子どもを亡くした親にしてはやけにものわかりがいいなと思いましたが、そこを掘り下げると違う話になるので、まあこれくらいがいいんでしょう。
・後半のどっちがどっちかわからなくなって、勢いで読ませるところはとても惹きこまれました。え?これどっち?と深く考えず流れに乗ってだーっと読むのがオススメ。

*1:発売前のインタビューでたびたび、Pちゃんのことや新しいNEWSについて質問されてて、あえてそういう方向に煽っているのかなあとちょっとだけ勘ぐってしまいまして。